特定技能外国人を受け入れたいが、何から始めればいいのかわからない。そんな悩みを抱える企業は少なくありません。人手不足が深刻になるなかで、特定技能は有効な選択肢ですが、進め方を誤ると、採用後のミスマッチや手続きの負担増で止まってしまいます。実際には「特定技能を直接採用する方法」だけが正解ではありません。技能実習から受け入れて育てたうえで、特定技能へ移行してもらう方法が合う企業もあります。
この記事では、特定技能外国人を受け入れるまでの流れを、はじめての企業にもわかりやすく解説します。受け入れの第一歩を踏み出せるよう、自社に合う採用ルートと進め方を検討していきましょう。
- 外国人人材採用には大きく2つのルートがある
- ①技能実習から受け入れ、特定技能へ移行する方法
- ②特定技能人材を直接採用する方法
- 内製と外部機関の活用、どちらを選ぶべきか?
- パターン①自社で内製する場合の流れ
- Step1. 採用計画・対象分野を確認する
- Step2. 求人・採用(国内外)
- Step3. 在留資格「特定技能」申請準備
- Step4. 入管申請・許可取得
- パターン②登録支援機関など外部機関を活用する場合の流れ
- Step1. 採用計画の設計(自社)
- Step2. 人材紹介・送り出し機関と連携
- Step3. 内定・雇用契約締結
- Step4. 在留資格申請(登録支援機関が補助・代行支援)
- まとめ:自社に最適な制度選びに迷ったら協同組合APICOへ相談を
- 特定技能外国人採用に関するQ&A
30秒でわかる!このコラム記事のポイント
・特定技能のおおまかな流れは、採用計画→人材確保→雇用契約→在留資格申請→受け入れ開始です。
・外国人人材採用には、技能実習から育成して特定技能へ移る方法と、特定技能人材を直接採用する方法があります。
・社内に知見と人員があれば内製も可能ですが、はじめてなら登録支援機関などを活用したほうが進めやすいです。
・特定技能は即戦力を確保しやすい一方で、採用競争が起こりやすい制度でもあります。
・制度選びと受け入れ体制づくりに迷ったら、早めに相談先を持つことが遠回りを防ぐコツです。
外国人人材採用には大きく2つのルートがある

特定技能の受け入れを考えるときは、まずどのルートで人材を確保するかを決めることが重要です。大きく分けると、技能実習から受け入れて特定技能へ移行する方法と、特定技能人材を直接採用する方法の2つがあります。前者は育成を前提にした進め方、後者は早期戦力化を重視する進め方といえます。
どちらが一方的に優れている、というわけではありません。未経験者をじっくり育てたい企業と、今すぐ現場で動ける人材が必要な企業では、選ぶべき方法は変わってきます。以下で、それぞれの特徴と向いている企業像を具体的に見ていきましょう。
①技能実習から受け入れ、特定技能へ移行する方法
技能実習とは、外国人に日本で仕事をしながら技能を身につけてもらう制度で、国際貢献が目的となっています。未経験者を受け入れるケースが多く、実習期間中に仕事の流れや職場ルールを覚えてもらえるため、長期的に人材を育てたいという企業に向いています。実習を良好に修了した人は、条件を満たしたうえで特定技能へ移行し継続雇用につなげるということも可能です。
一方で、この方法は育成期間が必要です。入社直後から高い生産性を求めるとミスマッチが起こりやすく、教育担当者の配置や生活面の支援体制も欠かせません。採用そのものよりも、受け入れ後の育成が成果を左右します。
技能実習からはじめる流れを詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせて確認しておくと理解が深まります。
②特定技能人材を直接採用する方法
特定技能は、人手不足が深刻な分野において、一定の技能や日本語力を持つ外国人に働いてもらうための制度です。特定技能人材を直接採用する方法では、すでに試験合格や実務経験の条件を満たした候補者を採用するため、比較的早く現場で活躍してもらいやすいのが大きなメリットです。
一方で、即戦力を求める企業が多いため採用競争が起こりやすくなります。特に人気分野や都市部では、条件が似た求人が並びやすく、募集のタイミングが遅れると採用難易度が上がります。早く人手を補いたい企業には向いていますが、募集活動や受け入れ準備を後回しにすると、かえって採用機会を逃しやすい方法でもあります。
内製と外部機関の活用、どちらを選ぶべきか?
特定技能の流れを考えるうえで、もう一つ大切なのが手続きを自社で進めるか、外部機関を活用するかという点です。社内に制度理解があり、採用から支援まで担当できる体制があるなら自社でも対応できるかもしれません。ただし、はじめて受け入れる企業では、書類準備や支援業務の負担が想像以上に大きくなりやすいため、登録支援機関などの活用も選択肢に入れておくことをおすすめします。
特定技能は、採用して終わりではありません。入社前後の案内、生活立ち上げ支援、定期面談なども必要になるため、社内の時間と人員をどこまで割けるかが判断基準になります。
自社で内製するか、外部機関を活用するか迷ったら、ぜひ一度当組合に相談したうえで判断してみましょう。
パターン①自社で内製する場合の流れ
ここでいう内製とは、登録支援機関へ支援業務を委託せず、企業が主体となって採用から申請、受け入れ後の支援まで管理する進め方です。現在は書類作成やデータ管理を補助するツールもありますが、ツールだけで制度運用が完結するわけではありません。実際には、契約内容の説明、支援計画の作成、行政対応まで自社で理解して進める必要があります。
専門知識をもつ担当者が在籍しているなど社内体制がそろっている企業向けの方法といえます。反対に、初回受け入れ要員や少人数採用では、内製にこだわるより外部支援を使ったほうがスムーズに受け入れできるケースもあります。まずは内製の流れを確認し、自社で本当に回せるかを見極めましょう。
Step1. 採用計画・対象分野を確認する
最初に行うべきことは、自社の業務が特定技能の対象分野に当てはまるかを確認することです。2026年時点で特定技能1号の対象は16分野あり、分野ごとに従事できる業務範囲が決まっています。ここを曖昧にしたまま進めると、採用できても予定していた仕事を任せられないおそれがあります。
そのうえで、必要人数、配属先、任せたい業務内容、採用したい時期を整理しましょう。募集を始める前に、誰を、いつまでに、どの現場で受け入れるのかを言語化しておくことが重要です。
Step2. 求人・採用(国内外)
採用計画が固まったら、求人募集と候補者探しに進みます。方法としては、自社募集、人材紹介会社の活用、海外現地での採用などがあります。国内採用は入社までの距離が比較的近く、すでに日本で生活している人材に会える点が強みです。一方、海外採用は候補者の幅が広がる反面、調整事項が増えやすくなります。
面接では、履歴書の内容だけで判断せず、実際の受け答えや業務理解も確認したいところです。特定技能は即戦力寄りの制度ですが、職場との相性まで保証されるわけではありません。スキルだけでなく、勤務条件や生活環境との適性もあわせて見ておくと、入社後のズレを減らせます。
Step3. 在留資格「特定技能」申請準備
採用したい候補者が決まったら、雇用契約を結び、申請準備に入ります。この工程では、雇用条件の整理、必要書類の収集、支援計画の作成などを行います。支援計画とは、事前ガイダンスや生活立ち上げ支援、相談対応などをどう実施するかをまとめた書類で、特に1号特定技能では、この支援内容が重要になります。
この工程は、企業側の事務負担が大きくなりやすい部分です。候補者本人に関する書類だけでなく、会社側の要件確認や説明資料も必要になるため、慣れていないと手戻りが起きやすくなります。ここで焦って進めるより、提出前に書類の整合性を丁寧に見直すほうが結果的に早く進みます。
Step4. 入管申請・許可取得
準備が整ったら、地方出入国在留管理局へ申請します。申請内容に不備がなければ、審査を経て許可が出され、就労開始に向けた最終準備へ進みます。ここで注意したいのは、許可が出たら終わりではないことです。住居、入社日、生活案内、受け入れ初日の動きまで整えておかないと、現場への立ち上がりが不安定になります。
また、1号特定技能では、受け入れ後も支援業務が続きます。生活オリエンテーションや相談対応、定期面談などを継続して行う必要があるため、申請の先にある運用まで含めて準備することが重要です。内製は自由度が高い一方で、採用後の継続対応まで自社責任になる点を忘れないようにしましょう。
パターン②登録支援機関など外部機関を活用する場合の流れ
こちらは、登録支援機関や人材紹介会社、必要に応じて送り出し機関と連携しながら進める方法です。登録支援機関とは、1号特定技能外国人への支援業務を企業に代わって実施できる外部機関のことです。
特に、社内に外国人雇用の専任担当がいない場合は、この方法が現実的といえます。企業は採用方針や受け入れ条件の整理に集中しやすくなり、手続きや支援の実務は経験のある機関と分担できます。スピードだけでなく、法令対応やトラブル予防の面でも安定しやすい進め方です。
Step1. 採用計画の設計(自社)
外部機関を使う場合でも、最初の設計は自社で行う必要があります。まず、なぜ採用するのか、何人必要なのか、どの部署で受け入れるのかを明確にします。あわせて、予算感や教育担当者の有無、住居や通勤の環境なども整理しておくと、その後の相談が具体的になります。
ここが曖昧だと、紹介される人材の方向性もぶれやすくなります。外部機関に丸投げするのではなく、自社の採用目的を言葉にすることが重要です。目的が明確であれば、紹介会社や登録支援機関との打ち合わせも早く進みます。
Step2. 人材紹介・送り出し機関と連携
採用方針が固まったら、人材紹介会社や送り出し機関と連携しながら候補者を探します。送り出し機関とは、海外から日本への就労希望者を送り出す現地機関のことです。特に海外採用では、この工程が重要になり、候補者選定や面接日程、必要書類の確認を複数の関係者と調整することになります。
外部機関を使うメリットは、候補者紹介だけでなく、制度に合う人材の見極めを支援してもらいやすい点です。企業が一から海外ネットワークをつくるより、既存の仕組みを活用したほうがスムーズに進みやすくなります。採用スピードを上げたいなら、早い段階で連携先を決めておくことが効果的です。
Step3. 内定・雇用契約締結
候補者が決まったら、内定通知と雇用契約の締結に進みます。このとき大切なのは、労働条件を外国人本人が理解できる形で説明することです。給与、勤務時間、休日、仕事内容、入社時期などが曖昧なままだと、後から「聞いていた話と違う」となりやすく、早期離職の原因になります。
日本語で説明して終わりにせず、必要に応じてわかりやすい表現に置き換えるか翻訳して伝えましょう。ここで認識をそろえられるかどうかが、その後の定着率に影響します。外部機関が間に入る場合も、企業側が条件をあいまいにしないことが重要です。
Step4. 在留資格申請(登録支援機関が補助・代行支援)
最後は、必要書類をそろえて在留資格申請を進めます。外部機関を活用する場合、この工程で企業の負担の差がもっとも出やすくなります。書類の収集、申請準備、行政手続きの進行管理、受け入れ前の生活支援準備まで、経験のある支援機関が入ることで手戻りを減らしやすくなるからです。
内製との違いは、企業がすべてを抱え込まなくてよい点にあります。もちろん、最終的な受け入れ責任は企業側にありますが、実務の段取りを伴走してもらえるだけでも負担感はかなり変わります。はじめての受け入れで不安が強い企業ほど、外部支援を使う意味は大きいといえます。
まとめ:自社に最適な制度選びに迷ったら協同組合APICOへ相談を
特定技能の受け入れは、ただ申請書を出すだけの話ではありません。どのルートで人材を確保するかを決め、受け入れ体制を整え、採用後の支援まで見据えて進めなければなりません。技能実習から育成して特定技能へつなぐ方法は長期育成に向いており、特定技能を直接採用する方法は早期戦力化に向いています。どちらが合うかは、企業の人手状況や教育体制によって変わります。
もし、制度選び、採用計画、受け入れ体制の構築で迷っているなら、早い段階で相談先を持つことが大切です。協同組合APICOは、技能実習や特定技能の受け入れ支援に関する情報発信も行っているため、はじめてで検討段階でも相談しやすいです。自社だけで判断しきれない場合は、無理に抱え込まず相談しながら進めてみてください。
特定技能外国人採用に関するQ&A
Q1. 特定技能と技能実習は何が違いますか?
技能実習は日本で仕事をしながら技能や知識を身につけてもらうことを目的とした制度です。一方、特定技能は人手不足が深刻な分野で、一定の技能や日本語力を持つ外国人に働いてもらうための制度です。技能実習は育成色が強く、特定技能は就労色が強い制度といえます。
どちらを選ぶかは、今の人手不足をすぐ埋めたいのか、それとも将来を見据えて人材を育てたいのかで判断すると失敗しにくくなります。未経験者を受け入れて育てたいなら技能実習、できるだけ早く戦力になってほしいなら特定技能が合いやすいです。
Q2. 日本語が話せなくても採用できますか?
不可能ではありませんが、特定技能では原則として一定の日本語能力を確認する試験への合格が必要です。技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除される場合がありますが、現場で必要な日本語力は業務内容によって異なります。ただし、それだけで現場に完全対応できるとは限らず、専門用語や社内ルールの理解には入社後のフォローが必要です。
たとえば、接客やお客様対応が多い仕事では、より高い会話力が求められます。反対に、製造や建設のように作業中心の職場では、指示の出し方や教育方法を工夫することで十分に活躍してもらえるケースも多くあります。日本語力だけで足切りするのではなく、業務内容と教育体制のバランスで判断することが大切です。
Q3. 登録支援機関は必ず利用しなければなりませんか?
必ずしも利用しなければならないわけではありません。受け入れ企業が必要な支援体制を自社で整えられる場合は、登録支援機関を使わずに進めることも可能です。ただし、特定技能では入社前の案内、生活支援、相談対応、定期面談など、採用後も継続する支援業務があります。制度を理解していても、実務まで回せるかは別問題です。
そのため、はじめて受け入れる企業では、登録支援機関を活用するケースが多く見られます。専門知識のある担当者に相談しながら進められるため、書類不備や運用ミスを防ぎやすくなるからです。無理に最初から内製化を目指すより、まずは外部支援を使って全体の流れをつかむ方法のほうが現実的といえます。

コラム記事監修協同組合APICO
設立以降、建設業や製造業を中心に約130社へ3,000名以上の実習生を送り出してきた実績を持つ。企業と実習生双方にとって安心できる体制を、蓄積されたノウハウをもとに構築する支援を強みとしている。厚生労働省から「一般監理事業」の認可を受け、法務省からは「登録支援機関」として指定された優良監理団体。