技能実習制度には、実習内容と在留期間に応じて「1号・2号・3号」という3つの区分が設けられています。しかし、その違いや移行条件、企業側が満たすべき要件を完全に理解するのは難しいです。
この記事では、制度の目的から各号の役割、実習生が5年間の受け入れに進むための条件までを徹底解説します。
- はじめに:技能実習制度の目的とステップを理解しよう
- 技能実習制度の「号」とは? それぞれの期間と違い
- 技能実習1号とは:日本で働くための基礎を身につけるステップ
- 技能実習2号とは:実務を通じてスキルを定着・発展させるステップ
- 技能実習3号とは:リーダー的な人材を育てる最終ステップ
- 【比較でわかる】技能実習1号・2号・3号の違いと移行条件
- 1号から2号へ:技能検定「基礎級」の合格がカギ
- 2号から3号へ:技能検定「3級」合格でさらにステップアップ
- 受け入れ企業が知っておくべき監理体制とチェック体制の違い
- 3号移行時に求められる「優良な実習実施者」とは?
- ステップごとの実習ポイント:企業がおさえるべき運用のコツ
- 技能実習1号の実習ポイント:導入期における講習と生活サポート
- 入国後講習の内容と費用負担、連携のポイント
- 日本での生活に慣れるための支援と環境づくり
- 技能実習2号の実習ポイント:実務経験を積ませながらスキルを磨く
- OJT体制づくりと実習指導者の役割
- 実習日誌・労働時間の管理など、法令遵守の基本
- 技能検定に向けた企業のサポート体制
- 技能実習3号の実習ポイント:長期的な人材育成と優良企業としての責任
- 再入国や一時帰国の手続き、企業のサポート内容
- 3号実習計画の立て方と指導体制の充実
- まとめ:技能実習生の受け入れを成功させるために、まずは専門機関へ相談を
30秒でわかる!このコラム記事のポイント
このコラムのポイントは以下の5つです。
- 技能実習制度には3つの段階(1号→2号→3号)がある。
- 受け入れ企業が移行を目指す際に、技能検定合格・優良実習実施者認定・監理体制という3つの要件を押さえる必要あり。
- 現場運用においては、導入期(1号)、熟練期(2号)、長期育成期(3号)というステップごとに異なる実務対応の“コツ”が存在。
なお、この記事では技能実習1号・2号・3号に焦点を当てて解説しています。技能実習制度の基本的な内容については、こちらの記事をご確認ください。
【受け入れ検討企業様必見】技能実習生とは?制度や仕組みをわかりやすく解説
はじめに:技能実習制度の目的とステップを理解しよう
技能実習制度を考え、内容を理解するうえでは、まず「なぜこの制度があるのか」「どのようなステップを通って進むのか」を整理することが重要です。制度の意義は、単に外国人を労働力として確保することではなく、開発途上国等へ日本の技術・技能・知識を移転して、その国の経済発展・人材育成に協力することにあります。以下、各号ごとの期間や違いを確認していきましょう。
技能実習制度の「号」とは? それぞれの期間と違い
技能実習制度は、実習生が日本国内で一定の技能・知識を習得し、帰国後母国で活かせる人材となることを目的としています。制度上、実習期間と段階に応じて「1号」「2号」「3号」の3つの区分に分かれています。下表にそれぞれの特徴をまとめました。
| 項目 | 技能実習1号 (1年目) | 技能実習2号 (2〜3年目) | 技能実習3号 (4〜5年目) |
|---|---|---|---|
| 受け入れ方式 | ・企業単独型(技能実習1号イ) ・団体監理型(技能実習1号ロ) |
・企業単独型(技能実習2号イ) ・団体監理型(技能実習2号ロ) |
・企業単独型(技能実習3号イ) ・団体監理型(技能実習3号ロ) |
| 対象職種 | 原則制限なし | 91職種168作業 | 82職種151作業 |
| 在留期間 | 最長1年間 | 1号から移行して最長2年間 | 2号から移行して最長2年間 |
| 合計期間 | 1年目のみ | 1号と合わせて最長3年間 | 2号と合わせて最長5年間 |
| 主な目的 | 基礎的な技術・知識の習得。 | 1号で習得した内容をより実践的に熟練させること。 | 3年間の実習成果を活かし、さらに高いレベルの技術を習得すること。 |
| 移行の条件 | 1号から2号へ移行する際に、「基礎級」またはそれに相当する技能検定に合格すること。 | 2号から3号へ移行する際に、「3級」またはそれに相当する技能検定に合格すること。 | ー |
| 重要な要件 | ー | ー | 受け入れ企業・団体が「優良」と認められていること。 |
| 一時帰国 | 義務なし。 | 義務なし。 | 3号へ移行する前に、1ヶ月以上一時帰国することが必要(一部例外あり)。 |
このように、1号から3号まで、期間・目的・移行条件・対象職種が段階的に異なります。特に大きいのは研修期間で、1号は最長1年間、2号は1号修了後、最長2年間(通算最長3年間)、3号は2号修了後、最長2年間(通算最長5年間)となっています。
技能実習1号とは:日本で働くための基礎を身につけるステップ
技能実習1号は、実習生が日本での生活や職場環境に慣れ、基礎的な技能を身につけるための“導入期”にあたります。入国後すぐに行われる「入国後講習」(日本語・生活ルール・専門知識など)はこの期間の中心で、実習時間の6分の1以上を占めることが義務付けられています。その後、実習実施者(企業)での実務が始まり、基礎的な作業工程を経験します。
注意すべきは、1号から2号への移行時に職種・作業を原則変更できない点です。将来的に2号への移行を見据える場合、自社が該当職種に含まれるか必ず事前に確認する必要があります。最大1年のこの期間は、実習の土台を固める重要なステップと言えるでしょう。
技能実習2号とは:実務を通じてスキルを定着・発展させるステップ
技能実習2号は、1号で身につけた基礎技能を、より実践的な現場経験を通じて定着・発展させる期間です。実習生は実際の業務に深く関わりながら技能を磨き、企業にとっても戦力として活躍する場面が増えていきます。
2号へ移行するためには、1号修了時点で技能検定「基礎級」(または相当試験)に合格していることが必須です。期間は最長2年間で、通算3年まで日本で実習を行うことができます。
技能実習3号とは:リーダー的な人材を育てる最終ステップ
技能実習3号は、これまでの実習で培った技能をさらに高水準に引き上げ、母国の指導者やリーダーとして帰国後に活躍できる人材を育成する段階です。2号からの移行には、技能検定「3級」合格に加え、企業が「優良な実習実施者」として認定されていることが求められます。
最長2年間の3号は、通算5年間という長期にわたる実習の集大成となります。実習生はより高度な業務を担当し、現場で後輩の指導に関わるケースもあります。企業にとっても、国際人材育成を担う重要なステップであり、計画的な指導体制の構築が求められます。
【比較でわかる】技能実習1号・2号・3号の違いと移行条件
各号の期間や目的をおさらいし、さらに企業が受け入れを進めるうえで「移行条件」「監理体制」の観点から比較して整理しましょう。
| 区分 | 技能実習1号 | 技能実習2号 | 技能実習3号 |
|---|---|---|---|
| 期間 | 最長1年間 | 最長2年間 | 最長2年間 |
| 目的 | 基礎的な知識・技能の習得 | 習得した技能の熟練・定着 | 帰国後の指導者レベルへの向上 |
| 移行条件 | 技能検定「基礎級」等に合格 | 技能検定「3級」等に合格 & 実習実施者が「優良」であること | ー |
移行を確実にするために、企業側としては1号の段階から2号/3号を見据えた実務設計と検定対策、及び優良実習実施者の認定取得に向けた取組みが不可欠です。
1号から2号へ:技能検定「基礎級」の合格がカギ
技能実習1号から2号へ移行する際にもっとも重要なのが、技能検定「基礎級」または同等の技能試験への合格です。これは、実習生が基礎技能を一定水準で習得しているかを客観的に証明するための試験で、合格しない場合は2号に進むことができません。
企業に求められるのは、基礎級に対応した実習内容を整備し、日々のOJTを通じて技能を身につけられる環境を整えることです。また、講習や模擬試験の時間確保、生活面での支援も合格率を左右します。実習生が実務と試験勉強を両立できるよう、企業が積極的に伴走することが不可欠です。
2号から3号へ:技能検定「3級」合格でさらにステップアップ
2号から3号へ進むには、技能検定「3級」への合格が必須となります。3級は基礎級よりも難易度が高く、より専門的で高度な技能が求められます。そのため、2号の期間中にどれだけ実践的な経験を積ませるかが成否を左右します。
さらに、3号への移行では、企業自身が「優良な実習実施者」に認定されていることが条件です。技能検定の合格だけでなく、企業の教育体制・労務管理・過去の実習実績が総合的に評価されます。実習生の能力だけでなく、企業の管理水準が問われる段階に入るのが2号から3号へのステップアップです。
もっとも、実習生のキャリアパスは必ずしも「2号 → 3号」だけではありません。実際には、技能実習2号を修了した後、3号へ移行せずに「特定技能」へステップ転換するケースも増えています。特に「特定技能1号」は、一定の日本語・技能水準を満たせば移行でき、同じ業種内であれば転職も可能です。そのため、より柔軟な働き方を求める実習生に選ばれやすい制度です。
さらに、特定技能2号に進めば家族(配偶者・子)の帯同が認められることも、実習生が特定技能を希望する大きな理由となっています。
- 実際は技能実習2号から技能実習3号に移行せずに、技能実習2号から特定技能に進む場合がある。
- 実習生本人が望んで特定技能に進むケースが多く、その理由として、転職が自由なこと、特定技能2号に進めば配偶者、子の帯同が可能になる、というのがある。
受け入れ企業が知っておくべき監理体制とチェック体制の違い
技能実習1号と2号では、監理団体による定期的な監査が義務付けられています。通常、3か月に1回の訪問指導があり、実習の進行状況や労務管理、生活支援の体制が適切かをチェックされます。
一方で、技能実習3号になると、受け入れ企業が「優良な実習実施者」として認定されている場合、監査頻度が6か月に1回などへ緩和されます。ただし、緩和される分、企業の自主的な管理水準が求められ、より長期的な人材育成の責任が伴います。
3号移行時に求められる「優良な実習実施者」とは?
3号実習へ移行するには、企業が「優良な実習実施者」に該当する必要があります。優良と認められるためには、失踪者の発生率が低いこと、技能検定の合格率が高いこと、労働関係法令違反がないことなど、複数の基準を満たす必要があります。
優良認定を受けるメリットは大きく、3号実習生の受け入れが可能になるほか、受け入れ人数枠の増加や監査頻度の緩和などが適用されます。ただし、認定基準は細かく定められており、普段から適切な労務管理・実習計画・生活支援が整っている企業でなければクリアするのは難しいです。
ステップごとの実習ポイント:企業がおさえるべき運用のコツ
ここからは、制度・移行条件を整理した上で、実務運用において企業として抑えておきたい「ステップごとのコツ」をご紹介します。
技能実習生の受け入れにあたって、企業に求められる各種条件については以下のコラムもご覧ください。
技能実習生の受け入れ企業に求められる条件・資格を分かりやすく解説
技能実習1号の実習ポイント:導入期における講習と生活サポート
1号実習は導入期にあたるため、「講習」「生活支援」「環境整備」という3つの観点が重要です。実習生が日本で安心して実習に臨むための環境を、ハード・ソフト両面で整備することが、後続ステップ(2号・3号)への移行をスムーズにします。
入国後講習の内容と費用負担、連携のポイント
技能実習1号の最初に実施される「入国後講習」は、日本での生活や業務に必要な基礎知識を身につけるために必須の講習です。具体的には、日本語教育、生活一般に関する知識(ゴミの分別、公共交通機関の使い方、医療機関の受診方法など)、職業倫理、安全衛生、専門知識の基礎など、多岐にわたる内容が含まれます。この講習は、1号実習期間の「6分の1以上」*を行うことが義務付けられています。
費用は原則として実習実施者(企業)が負担し、教材費・講師費用・施設使用料などが含まれます。監理団体や外部研修機関に委託するケースが多いため、実習開始後のOJT内容と矛盾が生じないよう、事前に密に連携しておくことが大切です。講習で学んだ内容が現場の実務と連動していると、実習生の理解度が大幅に高まります。
日本での生活に慣れるための支援と環境づくり
1号期間では、実習生が日本の生活環境にスムーズに適応できるよう、企業の生活支援が極めて重要になります。たとえば、銀行口座の開設、住民登録、健康保険の手続き、公共料金の支払い方など、日本の行政・生活インフラに関わる手続きは外国人にとって大きなハードルです。企業や監理団体が同行し、丁寧にサポートすることが求められます。
住環境の確保も欠かせません。適切な広さと設備を備えた宿舎を準備し、初期費用を実習生に負担させないよう配慮することが重要です。また、生活用品の購入サポートや、ごみ出しルール、地域のマナー説明など、日本の暮らしに関する細かなルールを伝えることで、トラブルを未然に防げます。
さらに、心のケアにも注意が必要です。言語や文化の違いから不安を抱えやすいため、相談窓口を明確にし、担当者が定期的に話を聞く機会を設けるなど、メンタル面のフォローが離脱防止に大きく寄与します。
技能実習2号の実習ポイント:実務経験を積ませながらスキルを磨く
2号では、実習生が職場の戦力として活躍する機会が増える一方、技能の定着と専門性の向上が重要な課題となります。OJT体制の整備、実習日誌の管理、労働時間の把握など、企業側の運用が直接的に技能水準へ影響を与えます。ここからは、2号の実習で求められる企業の役割を詳しく見ていきます。
OJT体制づくりと実習指導者の役割
技能実習の中心となるのが、企業内でのOJT(実務による訓練)です。実習生にとって実際の現場で手を動かしながら学ぶOJTは、技能を確実に定着させるもっとも重要なプロセスです。企業は、経験豊富な常勤職員(経験5年以上)から「実習指導者」を選任し、実習生に対して作業手順や安全管理、技能検定基準を踏まえた段階的な指導を行います。
指導者の役割は、作業を教えるのに加え、実習生の習得状況を把握し、必要に応じて訓練内容の調整や追加指導を行うなど、計画的な育成が求められます。また、指導者自身が技能実習制度の理解を深め、評価基準に沿った指導を実践することで、技能検定の合格率向上にも大きく貢献します。
実習日誌・労働時間の管理など、法令遵守の基本
技能実習制度では、実習生が毎日の実習内容を記録する「実習日誌」の作成が義務付けられています。実習日誌は、実習内容が計画どおりに進んでいるかどうかを確認する重要な資料であり、指導者の確認が必要です。監理団体の監査時にも必ずチェックされるため、正確な記録が欠かせません。
また、実習生は労働関係法令上の「労働者」です。したがって、労働基準法に基づく労働時間や残業時間の管理、休憩・休日の確保が求められ、「サービス残業」は厳禁です。労働時間の不備は優良認定に影響するだけでなく、重大な法令違反として行政処分につながるリスクもあります。
技能検定に向けた企業のサポート体制
技能実習の移行でもっとも重要なポイントは、2号移行時の「基礎級」、そして3号移行時の「3級」技能検定の合格です。企業は、実務以外にも座学の時間確保、教材準備、模擬試験の実施など、試験対策を積極的に支援する体制を整える必要があります。
技能検定に合格するためには、現場で身につけた技能を理論面でも理解していることが求められるため、OJTとOFF-JT(講習)の両方をバランスよく設けることが大切です。また、受験料などの費用は、企業が負担することが望ましいとされています。
技能実習3号の実習ポイント:長期的な人材育成と優良企業としての責任
技能実習3号は、これまでの実習成果を土台に、実習生を将来的なリーダーとして育成する最終ステップです。2号までと比べ、より高度な技能習得と職場内での役割拡大が求められます。また、企業側は「優良な実習実施者」としての高い管理水準を維持し、長期間にわたり実習生を支援する責任があります。
再入国や一時帰国の手続き、企業のサポート内容
技能実習3号へ移行する際には、実習生が一度母国に帰国することが義務付けられています。この帰国期間は、適切な技術移転が行われているかを確認するとともに、実習生が母国へ戻ることで家族との面会や休息を取る機会にもなり、長期実習への負担軽減にもつながります。
企業が負担すべき項目として、往復の渡航費用が挙げられます。帰国・再入国に伴う航空券、必要書類の準備、在留資格変更手続きなど、実習生が円滑に再入国できるよう企業・監理団体が協力して支援することが求められます。
さらに、3号は最大5年間の長期実習となるため、帰国後のキャリア支援や、同国出身者とのネットワークづくりを企業がサポートすることで、制度本来の趣旨である「人づくり」により大きく貢献できます。単なる労働力としての受け入れではなく、国際的な技術者の育成という視点を持って支援することが重要です。
3号実習計画の立て方と指導体制の充実
3号実習では、1号・2号で培った技能をさらに高いレベルで習得させるため、実習計画をより詳細かつ専門的に設計する必要があります。特に、技能検定2級相当レベルの技術習得を目標に据え、実務内容や指導方法、評価項目を具体的に設定することが求められます。
また、優良企業として適切な指導体制を維持するためには、指導者のスキル向上も欠かせません。経験豊富で指導力のある従業員を中心に、より高いレベルの技能教育を実施し、実習生が帰国後に現地でリーダーとして活躍できるよう、計画的な育成を行います。
監理団体との連携も重要で、計画の進行状況や課題を共有し、改善点があれば速やかに見直す柔軟な運用が求められます。3号は制度の集大成とも言えるステージのため、企業側の教育力が問われる段階です。
まとめ:技能実習生の受け入れを成功させるために、まずは専門機関へ相談を
技能実習制度は、1号・2号・3号の各段階で役割や要件が大きく異なります。適切な講習、実務指導、法令遵守、そして優良認定に向けた体制整備が、実習生の成長と企業の信頼につながります。
制度の理解や計画づくりに不安がある企業の経営者や担当者は、まず専門機関へ相談し、自社に最適な受け入れ体制を構築することが成功への第一歩です。
技能実習生についてのよくある質問
日々受け入れを検討されている企業から技能実習制度に関する質問が多く寄せられます。ここからは皆さんが悩みがちな疑問点に対し、実務上の注意点をわかりやすくまとめました。制度を正しく理解することで、より安心して受け入れを行えるようになります。
Q1. 技能実習生を受け入れる「職種・作業」は自由に選べますか?
A1.いいえ。技能実習制度で選べる職種・作業は、法律で「移行対象職種」として定められています。これは、実習生が帰国後に役立つ技能を習得できることを基準に選定されており、農業、漁業、建設、食品加工など、現在80を超える職種・150以上の作業が該当します。
一方、制度の目的に反する単純作業や危険性の高い作業は認められていません。受け入れ前には、自社の業務が移行対象職種に含まれるかどうかを必ず確認し、該当しない場合は受け入れができない点に注意が必要です。
Q2. 技能実習生が途中で失踪してしまった場合、企業にはどのような罰則がありますか?
A2.技能実習生の失踪は、実習実施者の管理体制や労働環境に問題があった可能性が高い重大な事案と見なされます。失踪が発生すると、企業は「優良実習実施者」の基準を満たせなくなり、新規受け入れ停止や受け入れ枠の削減といった行政処分を受ける場合があります。
さらに、労働基準法違反や不適切な労務管理が確認された場合、事業停止命令や罰金などの法的措置が科されることもあります。失踪を防ぐためには、労働条件の適正化と、実習生の相談体制を整えることが不可欠です。
Q3. 技能実習生に対しても、日本人社員と同じ賃金を支払う必要がありますか?
A3.はい。技能実習生も日本の労働関係法令上の「労働者」に該当します。そのため最低賃金法や労働基準法が適用され、同等の業務に従事する日本人社員と同等以上の賃金を支払う必要があります。
不当に低い賃金設定は制度の趣旨に反し、重大な法令違反に該当します。また、監査で問題が確認されれば優良認定の取り消しや行政処分にもつながります。企業は適切な給与体系を整え、実習生に対しても透明性のある説明が求められます。