「育成就労制度」2027年施行へ!技能実習制度との違いと押さえておくべきポイント

「育成就労制度」2027年施行へ!技能実習制度との違いと押さえておくべきポイント

2027年4月1日から施行される「育成就労制度」は、これまでの技能実習制度に代わり、外国人材の受け入れをより透明で持続的なものにする新制度です。

人材育成とキャリア形成を重視し、特定技能への移行も可能となるため、企業にとっては安定した人材確保と定着率向上が期待できます。一方で、受け入れ要件や労務管理体制の整備が求められるため、早めの準備が重要です。

本記事では制度の概要と企業が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

技能実習制度について知りたい方はこちらもご覧ください。

30秒でわかる!このコラム記事のポイント

このコラムのポイントは以下の5つです。

  • 技能実習制度は廃止され、外国人材の育成と長期就労を可能にする「育成就労制度」へ移行
  • 対象業種は人手不足分野に限定され、製造業・農業・漁業・林業に加え、介護・宿泊・外食などサービス業も拡大
  • 販売業(小売業)は対象外であり、受け入れには別の在留資格や制度を活用する必要あり
  • 企業にとってのメリットは、人材確保の安定化、教育投資による定着率向上、幅広い業務への就労が可能なこと
  • 注意点としては、労務管理・教育体制の整備や制度運用コスト、違反リスクへの対応が不可欠なこと

育成就労制度とは?技能実習制度との違いをわかりやすく

育成就労制度は、2027年4月に施行される新しい外国人材受け入れ制度です。従来の技能実習制度が「国際貢献」を目的としていたのに対し、育成就労制度は「国内の人手不足分野での人材育成と確保」を主眼に置いています。

この目的の違いにより、単なる労働力確保ではなく外国人材のキャリア形成や長期的な定着を支援する仕組みへと進化しました。本章では制度創設の背景や変更点、キャリアパス、対象業種について詳しく解説していきます。


制度創設と改正の背景

技能実習制度は1993年に創設され、当初は「国際貢献」を目的として発展途上国の人材育成を掲げていました。しかし、長年の運用の中で労働力確保の側面が強まり、人権侵害や労務管理の不備など課題も指摘されてきました。

こうした問題を受け、政府は制度の抜本的見直しを進め、外国人材を「人材育成と国内の人手不足解消」に位置づける新制度として「育成就労制度」を設計しました。

2027年4月1日から施行されるこの制度は、技能実習制度の課題を改善し、特定技能制度との接続を強化することで、外国人材のキャリア形成と企業の安定的な人材確保を両立させることを目指しています。

制度化への動き 目的・背景
1993年 技能実習制度創設 国際貢献・人材育成を目的
2010年代 制度拡大 労働力確保の色合いが強まる
2017年 技能実習法施行 人権保護・適正管理を強化
2019年 特定技能制度開始 中長期的な就労を可能に
2023年 政府有識者会議で制度見直し提言 技能実習制度の課題整理
2027年4月 育成就労制度施行 国内人手不足分野での人材育成・確保を目的

技能実習制度からの主な変更点

育成就労制度は、従来の技能実習制度で指摘されてきた課題を改善し、外国人材のキャリア形成と企業の安定的な人材確保を両立させる仕組みへと進化しました。技能実習制度は「国際貢献」を目的としていましたが、実際には労働力確保の色合いが強まり、労務管理や人権保護の不備が問題視されてきました。

新制度では目的を「国内人手不足分野での人材育成と確保」に明確化し、外国人材が将来的に特定技能へ移行できるキャリアパスを整備しています。これにより、単なる短期的な労働力ではなく、長期的な人材育成と定着を可能にする制度へと転換しました。

以下の表に、主な変更点を整理しました。

項目 技能実習制度(変更前) 育成就労制度(変更後)
制度目的 国際貢献・人材育成 国内人手不足分野での人材育成・確保

就労の位置づけ 実習を通じた技能習得 就労を通じたキャリア形成
在留資格との関係 実習終了後は帰国が原則 特定技能制度へ移行可能
監理体制 監理団体中心 企業責任の明確化・適正管理強化
人権保護 不備が指摘 労働環境改善・権利保護を重視

キャリアパスとは

キャリアパスとは、働く人が将来どのような職務や資格へ進んでいくかを示す「道筋」のことです。似た言葉にキャリアアップがありますが、こちらは昇進やスキル向上といった「ステップの上昇」を意味します。

つまり、キャリアパスは進む方向性や選択肢を示し、キャリアアップはその過程での成長を指します。育成就労制度では、このキャリアパスを整備し、外国人材が特定技能へ移行できる仕組みを用意しています。

対象となる業種と職種

育成就労制度の対象となる業種や職種は、国内で慢性的な人手不足が続く分野に限定されます。従来の技能実習制度と同様に、製造業や建設業、介護など幅広い分野が含まれますが、制度の目的が「人材育成と確保」であるため、就労を通じて技能を高め、将来的に特定技能へ移行できるキャリアパスが整備されています。

これにより、外国人材は単なる労働力ではなく、企業の中核を担う人材として長期的に活躍できる可能性が広がります。

以下に主な対象分野を整理しました。

業種 主な職種例
第一次産業系 農業 野菜栽培、畜産管理
漁業 水産加工、養殖管理
林業 伐採作業、造林作業、森林管理、木材加工
ものづくり産業系 製造業 機械加工、食品製造、金属プレス、縫製
飲食料品製造業 食品加工、製菓製造
自動車整備業 整備士
造船・舶用工業 溶接、組立
工業製品製造業 機械加工、組立、検査
サービス業系 介護業 介護職員、生活支援
宿泊業 ホテルスタッフ、フロント業務
外食産業 調理補助、接客
ビルクリーニング 清掃スタッフ
リネンサプライ ホテル・病院向けリネン管理
航空関連業 地上支援業務、手荷物処理

受け入れ企業様が押さえるべきポイント

育成就労制度の施行にあたり、受け入れ企業には従来以上に明確な責任と体制整備が求められます。

単なる労働力確保ではなく、外国人材の育成とキャリア形成を支援する姿勢が不可欠です。具体的には、受け入れ要件や監理体制の遵守、労務管理や教育環境の整備、そして特定技能制度への円滑な移行を視野に入れたキャリアパスの構築が重要となります。

以下では、それぞれのポイントを詳しく解説します。


受け入れ要件と管理体制

育成就労制度では、受け入れ企業に対して従来以上に厳格な要件と管理体制が求められます。技能実習制度で問題視された不適切な労務管理や人権侵害を防ぐため、企業は透明性の高い体制を整備する必要があります。

具体的には、受け入れ企業が直接責任を負う仕組みが導入され、監理団体に依存するのではなく、企業自身が教育・労務環境を整えることが義務付けられています。

以下に主な要件を整理しました。

  • 適正な労務管理体制の構築(労働時間・賃金・安全衛生の遵守)
  • 外国人材への教育・研修の実施計画
  • 人権保護を重視した就労環境の整備
  • 監理支援機関との連携定期的な報告義務
  • 特定技能制度への移行を見据えたキャリアパス支援

労務管理・教育体制の整備

育成就労制度では、外国人材が安心して働き、技能を習得できる環境を整えることが企業の重要な責務となります。

労務管理面では、労働時間や賃金、社会保険の適正な運用が不可欠であり、法令遵守人権保護が強く求められます。

教育体制については、業務に必要な技能指導だけでなく、日本語教育や生活支援を含めた包括的な研修が推奨されています。

これにより、外国人材が職場に定着し、特定技能制度への移行を見据えたキャリアパスを歩めるようになります。

  • 労働条件の適正管理(労働時間・賃金・安全衛生
  • 社会保険・福利厚生の整備
  • 業務技能計画的な指導
  • 日本語教育生活支援の提供
  • キャリア形成を意識した教育プログラム

キャリア形成の重視・特定技能への移行

育成就労制度では、外国人材を単なる労働力として扱うのではなく、長期的なキャリア形成を支援することが重視されています。企業は、就労を通じて技能を習得させ、特定技能制度への円滑な移行を可能にするキャリアパスを整備する必要があります。

これによって、外国人材は安定的に働きながらスキルを高め、企業にとっても中核人材として定着する効果が期待できます。

以下に、育成就労制度における典型的なキャリアパスの流れを具体例として示します。

育成就労制度開始
基礎技能習得
日本語・生活支援による定着
業務経験の蓄積・技能向上
特定技能1号への移行
長期的な就労・キャリアアップ

特定技能とは

特定技能とは、外国人材が一定の技能試験や日本語能力試験に合格することで取得できる在留資格で、国内の人手不足分野で中長期的に就労できる制度です。技能実習や育成就労制度を経て移行するケースが多く、キャリアパスの次の段階として位置づけられています。

特定技能には「1号」「2号」があり、1号は最長5年の就労が可能2号は家族帯同や長期在留が認められるなど、より安定した就労環境を提供します。

企業様にとってのメリットと注意点

育成就労制度は、外国人材のキャリア形成を支援しながら企業の人材不足を解消できる仕組みとして注目されています。

受け入れ企業にとっては、人材確保の安定化教育投資による定着率向上、幅広い業務への就労が可能になるなど多くのメリットがあります。一方で、制度運用には労務管理や教育体制の整備コスト負担やリスク管理も伴います。

以下では、企業様が押さえるべき具体的なメリットと注意点を整理します。


メリット①:人材確保の安定化

育成就労制度の最大のメリットの一つは、人材確保の安定化です。

従来の技能実習制度では、原則として一定期間終了後に帰国するため、企業は継続的な人材確保が難しい状況にありました。新制度では、外国人材が就労を通じて技能を習得し、特定技能制度へ移行できるキャリアパスが整備されているため、長期的な雇用が可能になります。

この制度へ移行することで、慢性的な人手不足に悩む業種でも安定的に人材を確保でき、企業の事業継続性サービス品質の維持に直結します。

人材確保が安定する主な要点は、以下となります。

  • 帰国前提から長期就労へ:特定技能制度への移行が可能
  • 慢性的な人手不足分野に対応:介護・建設・製造・サービス業など
  • 企業の事業継続性を強化:人材の定着により教育コストを削減
  • サービス品質の維持:経験蓄積による技能向上

メリット②:教育投資による定着率向上

育成就労制度では、企業が教育投資を行うことで外国人材の定着率を高められる点が大きなメリットです。単なる労働力として扱うのではなく、技能指導や日本語教育、生活支援を通じて人材を育成することで、職場への適応力が向上し、離職率の低下につながります。

教育投資は短期的にはコストとなりますが、長期的には人材の安定確保や教育コストの削減効果を生み、企業の競争力強化にも寄与します。

教育投資によって期待できる主な効果は、以下の通りです。

  • 技能習得の促進:業務効率・品質の向上
  • 日本語教育の提供:コミュニケーション改善、職場定着
  • 生活支援の充実:安心感の醸成、離職防止
  • キャリア形成支援:特定技能への移行を後押し

メリット③:より幅広い業務への就労

育成就労制度の大きな特徴は、従来の技能実習制度に比べて外国人材がより幅広い業務に従事できる点です。

技能実習制度では「技能習得」を目的とした限定的な職種に限られていましたが、新制度では人材不足が深刻な分野を中心に、サービス業や製造業など多様な業務での就労が可能となります。

育成就労制度への移行により、企業は現場のニーズに応じて柔軟に人材を配置でき、外国人材にとってもキャリア形成の選択肢が広がります。

旧・技能実習制度の対象業種一覧は、以下となります。

  • 農業(耕種・畜産)
  • 漁業(水産加工・養殖)
  • 建設業(型枠施工、鉄筋施工、内装仕上げなど)
  • 機械・金属関係(機械加工、金属プレス、溶接など)
  • 繊維・衣服関係(縫製など)
  • 食品製造関係(製菓、食品加工)
  • 木材加工関係(製材、家具製造)
  • その他製造業(工業製品製造など)

新・育成就労制度によって、新たに以下の業種・職種が追加されました。

  • 林業・木材産業(伐採、造林、木材加工)
  • 介護分野(介護職員、生活支援)
  • ビルクリーニング(清掃スタッフ)
  • リネンサプライ(ホテル・病院向けリネン管理)
  • 宿泊業(ホテルスタッフ、フロント業務)
  • 外食業(調理補助、接客)
  • 自動車整備(整備士)
  • 航空関連(地上支援業務、手荷物処理)

制度運用に伴うコストとリスク

育成就労制度の導入は、企業にとって人材確保の安定化というメリットがある一方で、制度運用に伴うコストやリスクも存在します。教育体制や労務管理の整備には初期投資が必要であり、外国人材への研修や生活支援は継続的な費用負担となります。

また、法令違反や不適切な労務管理が発覚した場合には、受け入れ停止や企業の信用失墜につながるリスクもあります。制度を活用する際には、コストとリスクを十分に理解し、長期的な人材戦略の一環として位置づけることが重要です。

企業が育成就労人材を受け入れるにあたって、準備・対策すべき主なコストとリスクは以下となります。

  • 教育・研修費用:技能指導、日本語教育、生活支援
  • 労務管理コスト:労働時間・賃金管理、安全衛生対策
  • 制度違反リスク:受け入れ停止、行政指導、企業イメージ低下
  • 定着失敗リスク:離職による再教育コストの増加

「技能実習生受け入れのメリット5選!リアルなお悩みや注意点もご紹介」のコラムも、ぜひお読みください。

まとめ:育成就労制度で広がる外国人材活用の新時代

育成就労制度は、従来の技能実習制度の課題を改善し、外国人材の育成と長期的な就労を可能にする新たな仕組みです。製造業や一次産業に加え、介護・宿泊・外食などサービス業分野にも対象が広がり、企業は慢性的な人手不足を安定的に補うことができます。

また、教育投資による定着率向上特定技能制度への移行を通じて、外国人材が中核人材として活躍する未来が期待されます。一方で、労務管理や教育体制の整備制度運用に伴うコストやリスクへの対応も不可欠です。

企業が主体的に責任を果たし、持続的な人材戦略を描くことで、外国人材活用の新時代が広がります。

育成就労制度に関するQ&A

Q1. 技能実習制度との併用は可能ですか?

A1. 技能実習制度は廃止され、育成就労制度へ一本化されるため、両制度の併用はできません。施行後は新規受け入れは育成就労制度のみとなり、技能実習制度は経過措置として既存の受け入れに限り継続されます。

つまり、新たに外国人材を受け入れる場合は育成就労制度を利用する必要があり、企業は早めに制度移行への準備を進めることが重要です。

Q2. 受け入れ企業の審査基準は?

A2. 育成就労制度における受け入れ企業の審査基準は、適正な労務管理体制と教育環境の整備が中心です。労働時間・賃金・安全衛生の遵守はもちろん、人権保護や生活支援の姿勢も重視されます。

また、監理支援機関との連携定期的な報告義務を果たすことが求められ、外国人材が安心して技能を習得できる環境を整えることが審査の重要なポイントとなります。

Q3. 育成就労制度の対象業種には販売業(小売業)は含まれますか?

A3. 育成就労制度の対象業種は、慢性的な人手不足が深刻な産業に限られています。具体的には、介護・宿泊・外食・建設・製造・農業・漁業・林業などが対象であり、販売業(小売業)は含まれていません

小売業は人材不足分野として制度上認められていないため、外国人材を受け入れる場合は留学生アルバイトや一般的な就労ビザの活用が必要となります。